行ってみんさい！
食べんさい店

比婆牛の魅力について、「肉質は柔らかく、甘みがあります。赤身の味はしっかりと濃厚で、今回の調理のように香味野菜と合わせても、旨味や風味を損ないません」と、勇崎さん。また、比婆牛の産地である庄原市から近い世羅町産の野菜を用いた点に関しては、「同じ土壌で育まれる食材は、間違いなく相性が良いです」と笑顔を見せる。

コースはほかに、創業時から変わらないスペシャリテ「フォアグラのベニエ」など、ここでしか味わえない逸品が贅沢に並ぶ。ソテーなどのシンプルな調理法で提供されることの多いフォアグラを、球状に丸めて包み揚げにし、ポルト酒のオレンジ風味カラメルソースでいただくこの一皿は、調理技術はもとより、素材の扱い方や組み合わせの妙に知恵と工夫が光る。 ランチは3,980円～、ディナーは1万2,000円～で、スペシャリテは要相談。広島が誇る地素材や、選び抜いた世界各地の食材を華麗に昇華させる熟練シェフの技術に、心身共に酔いしれたい。

2023年には、フランス政府より「フランス共和国農事功労章 シュヴァリエ*」が与えられた。これまでのフランス料理への功績がフランス政府に認められたもので、中四国では勇崎さんが初の受章となる。さらに同年5月に開催されたG7 広島サミットでは、「配偶者ブログラム」の晩餐会を担当し、各国の首脳夫人たちに料理を提供した。そして11月には、「令和5年卓越した技能者（現代の名工）」として表彰される。

そんな名実ともに広島を代表するフレンチ・シェフとして名を知られる勇崎さんが、近年のテーマとして関心を注いでいるのが、地元ならではの素材。海、山と、豊かな自然に育まれた広島の食材が、勇崎さんの手によってどのように生まれ変わるのか、その化学反応を楽しみに、店を訪れてみてはいかがだろうか。

＊フランス共和国農事功労章 シュヴァリエ…フランス政府より与えられる勲章の一つ。フランスの食文化普及などに功績のあったフランス人や外国人に授与される。