お知らせ
広島の鉄人が行く!~三原篇~
FooDrinpicに向け、各地の推しメニューが凌ぎを削るなか、
おいしいの高みを目指し、各地の推し食にプロフェッショナルがアドバイスする企画。
それが「広島の鉄人が行く!」です。
その第一弾が2024年11月に三原市で開催されました。
三原市の「推し食」の磨き上げを担ったのは、「道の駅みはら神明の里」駅長を務める
中田耕治(なかた こうじ)氏。
同氏は、イタリアンレストラン「カフェ&ダイニングチャオ!」のオーナーシェフとしての
豊富な経験を活かし、三原市の特産品であるタコとモクズガニを使用したフラン
(フランス料理の一種で、甘くないプリンのような料理)を開発しました。
このフランは、三原市産の食材の魅力を最大限に引き出し、
地酒「醉心(すいしん)」の最適なおつまみとなることを目指して開発されました。
このフランにアドバイスする広島の鉄人は、
島村光徳(しまむら みつのり)氏。
同氏は、神戸やフランスでの経験を経て広島に帰郷し、
「ミクニヒロシマ」の立ち上げに携わった後、
コンセプトを引き継ぎながら自身のレストラン「シマラボ」を運営。
里山・里海フレンチのスペシャリストとして、
瀬戸内の食材を活かした料理で高い評価を得ています。
島村氏は三原市の「水質の良さ」に注目し、フランの重要な素材である「卵」にも着目。
これらの要素と三原産のマダコやモクズガニを組み合わせ、
地域の特性を最大限に引き出したフランのレシピを開発され、会に臨みました。
食材理解のパートでは、マダコ(やっさタコ)の生産者を代表して
三原市漁業協同組合 組合長の濱松照行(はままつ てるゆき)氏が、
また地酒「醉心」の生産者を代表して
株式会社醉心山根本店 支配人の坂井邦雄(さかい くにお)氏がご参加され、
それぞれの食材の特性についてご説明いただきました。
やっさタコ(マダコ)は三原市を代表する特産品で、
地域の漁業文化と深い結びつきを持つ食材です。
主に三原市周辺の瀬戸内海で獲れ、静穏な海域と豊富な海藻に育まれたタコは、
身の締まりが良く、風味豊かな味わいが特徴。
漁法としては伝統的なタコ壺漁が採用されており、環境への負荷を軽減しつつ、
持続可能な漁業が実践されていることをご紹介いただきました。
また、醉心は三原市を代表する地酒で、創業から100年以上にわたる歴史を誇ります。
仕込み水に清らかな軟水を使用しており、
その結果生まれる柔らかで滑らかな口当たりと上品な風味が醉心の特徴。
やっさタコの濃厚な旨味と醉心の繊細な味わいが織りなすペアリングは、
三原ならではの魅力として語られました。
関係者による中田氏が開発したフランの試食がなされた後、
島村シェフによるフランの調理がスタートしました。
島村シェフは、水と卵をベースに、
マダコの食感を際立たせるためにサイコロ状にカットして食感を残す手法を提案。
同サイズにカットした季節の野菜(今回は大根)を加えることで、
食べ応えを持たせつつ、季節ごとに異なる表情で提供可能なアイデアを披露しました。
さらに、調理を進める中でより高い美味しさを追求した結果、
会場にあった三原市産の「なめこ」を具材の一つとして取り入れることを決定。
また、見た目にもこだわり、カニの甲羅を蓋として使用することで、
熱を閉じ込めるとともに視覚的な楽しさも演出しました。
こうして、視覚と味覚の両方を満足させる、見た目も楽しく美味しいフランが完成しました。
完成した島村シェフ考案のフランは、関係者による試食が行われ、
各者からのコメントが寄せられました。
島村シェフは、「日本酒とのペアリングに固執せず、
あえてフレンチのスタンダードな製法で仕上げたことで、
結果的に同じ産地の食材同士が自然と引き立て合う味わいになった」と語りました。
中田駅長は、
「自分が考案したフランとは見た目も味も異なるが、間違いなく『醉心』に合う一品。
異なるアプローチを体感できたことは非常に面白く、貴重な経験だった」と評価。
また、サイコロカットした具材について、
「食べ応えがあるだけでなく素材の味が際立ち、
『島村シェフ、にくい!』と感じました」と笑顔を見せました。
生産者の濱松氏と坂井氏も、
島村シェフと中田駅長それぞれのフランに個性と魅力がある点を評価し、
これらの料理を通じて三原市の食材の価値がさらに広がることへの期待を語りました。
最後に、中田駅長から
「今回の企画を通じて、島村シェフのフランと自分のフランの
“良いとこどり”をした一品にブラッシュアップし、
12月4日に開催される秋の『FooDrinpic HIROSHIMA 2025』本戦に挑む」と
熱意溢れるお言葉をいただき、会は閉幕となりました。