お知らせ

2025.04.01

FooDrinpic Runway Report 〜庄原市篇〜

FooDrinpicエントリーテーマの魅力の深掘りと発信を目指し実施するFooDrinpic Runway!
今回は庄原市のエントリー”比婆牛”をテーマにした開催レポートをお送りします。

広島といえば、レモン、牡蠣、魚、そして瀬戸内海
——そんなイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実は“山の恵み”も負けてはいません。
その筆頭が、「比婆牛(ひばぎゅう)」。
広島県庄原市で育まれる、日本最古の血統を引き継ぐ由緒ある和牛であり、
かつてはたたら製鉄の町で“役牛”として活躍していた歴史も持ちます。
赤身の旨みと、さらりと口溶ける脂。
その独特の魅力を持つ比婆牛を、もっと多くの人に知ってほしい
——そんな思いから、庄原の生産者と広島市内の料理人がタッグを組み、「一皿」を磨き上げる新たなプロジェクトが始動しました。
料理を担うのは、広島市のイタリアンレストラン「Speranza(スペランツァ)」のオーナーシェフ、石本友記(いしもと ともき)氏。
ホテルや広島市内の名店「ラ・セッテ」での修業を経て、2011年10月に自身の店をオープン。
地元・広島の食材への深い理解と、確かな技術を兼ね備えた実力派です。

今回石本シェフが手がけるのは、赤身の旨みが魅力の比婆牛に、イタリアンのアプローチで光を当てるというチャレンジ。
「脂の華やかさよりも、赤身の力強さや深み。比婆牛には“料理で引き出すべきおいしさ”があるんです」と語ります。
このプロジェクトの根幹を支えるのは、生産者たちの技と情熱。


参加するのは、JAひろしまから畜産課 課長の野津山幹文(のつやまみきふみ)氏と、西城肥育センターの藤岡幸博(ふじおかゆきひろ)氏。
西城肥育センターでは庄原生まれの比婆牛用の雌の子牛が中心に肥育されており、雄牛(去勢牛)に比べて繊維が細かく、柔らかく、きめ細かな肉質が特徴とされています。
比婆牛の名にふさわしい品質を守り続けるために、与える飼料、水、環境管理の一つひとつに徹底的なこだわりが詰まっています。この比婆牛は、庄原市内のJA直営店舗を中心に販売されているほか、広島市内でも高級飲食店「日本料理 喜多丘」「ル・トリスケル」「リュニベル」などで提供されており、食のプロたちからも厚い信頼を得ています。そして今、その比婆牛が、イタリアンの舞台でどんな進化を遂げるのか。
石本シェフと生産者の情熱が出会い、“広島の山の恵み”が新たなステージへと歩み出しています。
まず初めに披露されたのは、なんと予定外の一皿。
石本シェフの気遣いによって特別に用意された「比婆牛モモ肉のカツレツ」です。
サクッと香ばしく揚がった衣の中には、比婆牛ならではのしっかりとした赤身がぎゅっと詰まっています。
脂のくどさがなく、かえって肉本来の旨みが際立つ絶妙なバランス。シンプルでありながら、素材の魅力をしっかり伝えてくれる一皿でした。

石本シェフはこう語ります。
「メインンの料理の前に、ちょっとした前菜のような気持ちで出しました。
洋食では定番のカツレツですが、比婆牛の赤身の旨さ、そしてくどくない脂の風味を感じていただければと」一口味わった藤岡氏も、目を丸くしてコメントします。
「洋食と聞いてくる前は少し身構えていたんですが、素材の美味しさが前面に出る料理で驚きました。
とても美味しいですね!」そして本日、メインとして披露された料理が
「比婆牛のモンテ エ マーレ」
イタリア語で「山と海」を意味する“モンテ エ マーレ”。
その名の通り、 山の幸・比婆牛と、海の幸・瀬戸内サザエを主軸に、すべて広島県内の食材で構成された渾身の一皿です。

比婆牛(庄原市)、瀬戸内サザエ(県内沿岸部)、めがひら舞茸・アワビ茸(北広島町)

安芸津赤じゃが(東広島市)、倉橋キングトマト(呉市)、梶谷農園のハーブ(広島市)

「同じ空気、同じ土、水で育った山と海の素材たちは、自然と引き合う力を持っている」と語る石本シェフは、それぞれの食材が持つ本来の香り、味わい、食感を生かしながら、一体感をもった料理に仕上げました。
藤岡氏は、料理を口にしてこう話します。
「普段食べることのないような料理で、新鮮でした。比婆牛本来の良さがしっかり出ていて、
他の食材との調和も見事。とても美味しかったです」さらに野津山氏も、あらためて広島のポテンシャルに感嘆の声を上げました。
「比婆牛はもちろんですが、こうして見ると、広島って本当に良い食材が揃ってますね。そしてそれを活かしてくれる料理人がいる。
だから“広島の美味しい”が成り立っているんだなと、あらためて実感しました」料理を味わい尽くしたあと、プロジェクトに関わった三人は、それぞれの立場から“これから”への想いを語りました。石本シェフはこう締めくくります。
「広島には、まだまだ伝えきれていない美味しいものがたくさんある。
今日は、生産者の方から直接お話を聞けたのがとてもよかった。
僕は料理人として、素材本来の良さを引き出し、それを訪れる人にしっかりと届けていく存在であり続けたい」
野津山氏・藤岡氏の二人は、比婆牛の未来にも触れました。
「今日は貴重な経験でした。比婆牛は生産頭数が限られる希少な和牛です。すぐに数を増やすことはできませんが、だからこそ、安定して飲食店に届けられる体制を極めていきたいと思っています」
生産者の想い、料理人の技、食材の個性——それらすべてが混ざり合い、響き合って、一皿の料理が生まれる。
この日交わされた会話も、味わわれた料理も、すべてが「広島らしさ」を映し出す時間でした。
“山の恵み”比婆牛を起点に、広島の豊かな食文化がまたひとつ、次のステージへ歩みを進めています。
このプロジェクトは、これで終わりではありません。
ここから始まる「広島の食」の新たな物語に、どうぞご期待ください!

広島には他にもおいしい!がたくさんあります。
FooDrinpicの特設サイトにアクセスして、各地の推し食をチェック!
https://foodrinpic.com/
食べられるお店も紹介されているので、
是非実際にお店まで行って食べてみてください!

おいしい!広島「食べんさい店」は広島らしいメニューや商品を取り揃えています。広島の「おいしい!」をぜひお楽しみください。

  • イメージ:おいしい!広島「食べんさい店」
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