おいしい!広島おもてなし情報
技術研鑽会 〜瀬戸内さかな篇〜 を開催/好本和夫
「おいしい!広島プロジェクト≪代表団体枠≫」である広島県日本調理技能士会では、県内の和食料理人の技術向上とモチベーションアップを目的として、年に4回、講師を招き調理法などを指南する「技術研鑽会」を開催しています。
今年度3回目となる今回の会場は広島市西区にある「ホテル広島サンプラザ」の一室で開催されました。講師は同施設の和食料理長の好本氏。旬の瀬戸内さかなを素材にした「黒鯛と春野菜の椀」「サザエの木の芽味噌和え」の2品をテーマに、料理の勘所を紹介しながら、調理工程を披露されました。
今回の主となる食材の一つが「黒鯛」。チヌとも呼ばれている瀬戸内さかなの一種です。牡蠣養殖に対する被害などから、近年では害魚として嫌煙されることも多い魚なのです。しかし、冬の沖に棲む黒鯛は鯛よりも味がよいとも言われており、その魅力を再確認すべく今年度第3回の研鑽会のテーマ食材となりました。その黒鯛を丁寧な仕事と、独特の味わいをうまく生かすことで意外性のある椀に仕上げられました。
また、サザエの木の芽味噌和えでは、木の芽を湯通し、すり鉢で玉味噌と合わせる仕上げのひと仕事を披露した好本氏。お客様に「魅せる」ことで喜んでいただくのも、日本料理のおもてなしの一つだという同氏の料理に対する矜持を感じるものでした。
おいしい料理を出すことは当たり前、日本料理がお客様に伝えるべきことを一皿の隅々に込める料理人のあり方を考えるきっかけとなる時間でした。
また会の冒頭では黒鯛を届けてくれた広島市漁協の岡野さんから漁の方法や季節などについて解説がありました。どういった料理にするのかもヒアリングした上で絞める方法も変える岡野さん。様々な分野のプロの信頼関係があってこそ、瀬戸内さかなの魅力を消費者に届けられることを参加者と再共有していました。
何気ない一手間にも細やかな気遣いがあり、日本料理の伝統を大切にする好本氏の仕事を通じて、日本料理の魅力を改めて感じる研鑽会でした。そして、お客様に向き合い、おいしい料理を提供する料理人の在り方とは、口で多くを語らずとも仕事でしっかりと伝えることが大切だということを目の当たりにした時間でもありました。